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	<title>Fishing Diary | NOVEL ROOM</title>
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	<lastBuildDate>Sun, 06 Apr 2025 08:56:38 +0000</lastBuildDate>
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	<title>Fishing Diary | NOVEL ROOM</title>
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		<title>『Fishing Diary #3』</title>
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		<dc:creator><![CDATA[kei]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 06 Apr 2025 08:56:37 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[Fishing Diary]]></category>
		<category><![CDATA[釣り日記]]></category>
		<category><![CDATA[カサゴ]]></category>
		<category><![CDATA[ムラソイ]]></category>
		<category><![CDATA[ホイル焼き]]></category>
		<category><![CDATA[根魚]]></category>
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					<description><![CDATA[　風がまだ冷たい。　春の気配は少しずつ近づいてきているはずなのに、海辺を走ると、冬の名残が肌を刺すように吹きつけてくる。 　それでも朝の海には、いつものようにポツポツと釣り人の姿があった。　防寒着を着込んで、じっと波を見 [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<figure class="wp-block-image size-full"><img fetchpriority="high" decoding="async" width="720" height="360" src="https://novel-room.online/wp-content/uploads/2025/04/23a7e72c7b73000934ee879d6f61ac66.jpeg" alt="" class="wp-image-2329" srcset="https://novel-room.online/wp-content/uploads/2025/04/23a7e72c7b73000934ee879d6f61ac66.jpeg 720w, https://novel-room.online/wp-content/uploads/2025/04/23a7e72c7b73000934ee879d6f61ac66-300x150.jpeg 300w" sizes="(max-width: 720px) 100vw, 720px" /></figure>



<p>　風がまだ冷たい。<br>　春の気配は少しずつ近づいてきているはずなのに、海辺を走ると、冬の名残が肌を刺すように吹きつけてくる。</p>



<p>　それでも朝の海には、いつものようにポツポツと釣り人の姿があった。<br>　防寒着を着込んで、じっと波を見つめながら竿を握っている。誰も声を出さず、ただそれぞれの釣りと向き合っているようだった。</p>



<p>　車の窓を少し開けると、潮の匂いがふわりと入り込んだ。</p>



<p>　「そろそろ、水温も少しは上がってきたかな」</p>



<p>　とはいえ、まだ浅場に魚が入ってくるには早い気がする。今日のような日は、やはり深めのポイントを探るのが良さそうだ。</p>



<p>　そう思いながら、海岸線をゆっくり走る。<br>　風裏になる地形を探しながら、テトラが積まれた場所を見つけると、車を止めた。</p>



<p>　潮はそれほど強くない。波も穏やかで、立ち込む必要もなさそうだ。何より、ここなら深さもあって、根魚が潜んでいる可能性が高い。</p>



<p>　ゆっくりと支度を整える。<br>　今日はシンプルに、ブラクリ仕掛けにオキアミをつけての釣り。狙うのは、テトラの隙間に潜む根魚たち。</p>



<p>　仕掛けを静かに落とす。<br>　スルスルと沈んでいき、オキアミが暗い海中に溶けていくのを感じる。</p>



<p>　……反応はない。</p>



<p>　潮が動いていないせいか、エサ取りも来ない。<br>　テトラの隙間を変え、落とす場所を少しずつずらしながら、丁寧に探っていく。</p>



<p>　数分が経過した頃。</p>



<p>　コツ……。</p>



<p>　わずかに、竿先がピクリと動いた。<br>　神経を研ぎ澄ませ、しばらく待つ。すると、次の瞬間──</p>



<p>　ググッ！</p>



<p>　竿先がぐっと下に引き込まれる。反射的にアワセを入れると、ずしりとした重みが伝わってきた。</p>



<p>　「……きた」</p>



<p>　根に潜られないよう、強めに巻き上げる。<br>　それほど暴れないが、しっかりとした抵抗感。この鈍い引きは、たぶん──</p>



<p>　海面に浮かび上がったのは、黒っぽい魚体。<br>　目が大きく、どこか鋭い雰囲気を漂わせたその姿。</p>



<p>　「ムラソイだ」</p>



<p>　なかなかのサイズ。20cmは超えている。<br>　厚みのある体に、がっしりとしたヒレ。テトラの中でじっと息を潜めていた獣が、ついに飛び出してきた。</p>



<p>　「いいね。これは嬉しい一匹」</p>



<p>　針を丁寧に外し、バケツの中にそっと入れる。<br>　茶色がかった魚体が、日の光を受けてきらりと光った。</p>



<p>　仕掛けを打ち直す。<br>　潮の動きに合わせて落とし方を微調整しながら、再びテトラの影を狙う。</p>



<p>　すると、またすぐにアタリがきた。</p>



<p>　今度はもう少し軽めの引き。だが、しっかりとしたトルクを感じる。<br>　上がってきたのは──</p>



<p>　「カサゴ、やっぱりいたか」</p>



<p>　ムラソイほどのサイズではないが、ぷっくりとした体形で美味しそうな個体。<br>　このあともう一匹、同じくらいのカサゴが続けて釣れた。</p>



<p>　バケツの中で、ムラソイとカサゴが静かに泳いでいる。<br>　海の色をそのまま映したような魚たち。ゆっくりと呼吸をするその姿を見て、ふと気が緩む。</p>



<p>　「これだけ釣れれば、もう充分だな」</p>



<p>　冷たい風の中、じんわりと手が温まっていくような気がした。<br>　さて、次はこの魚たちを、どうやって一番美味しく食べようか。</p>



<p>　家に戻り、キッチンに魚を並べる。<br>　ムラソイ一匹、カサゴが二匹。どれも身がしっかりしていて、見るからにうまそうだ。</p>



<p>　「今日は……全部、あれでいこう」</p>



<p>　迷いはなかった。<br>　この魚たちは、あの調理法がいちばん似合う。アルミホイルに包んで、塩とバターでじっくり焼き上げる──それだけで、素材の味が最大限に引き出される。</p>



<p>　まずは下処理から。<br>　まな板にムラソイを置き、包丁の背でザッザッと鱗を落としていく。思ったよりも硬く、骨ばった手応え。鱗が弾け、キッチンに軽く散る。</p>



<p>　エラと内臓を取り除くと、ぷりっとした白身が現れる。<br>　腹の中には、うっすらと脂ののった身がたっぷり詰まっていた。</p>



<p>　同じくカサゴも捌いていく。こちらは少し柔らかく、手慣れた動きで処理が進む。</p>



<p>　下処理を終えた魚たちをキッチンペーパーで丁寧に拭き取り、塩をまぶす。<br>　全体にまんべんなく、そしてお腹の中にもしっかりと。バターの香りと塩気が馴染むように、数分だけ置いてなじませる。</p>



<p>　「よし、包もうか」</p>



<p>　アルミホイルを広げ、その中心に魚を一尾ずつ乗せる。<br>　その上から、厚めに切ったバターを乗せ、香り付けに薄くスライスしたにんにくを一枚。少しだけ白ワインを垂らし、そっとホイルを閉じる。</p>



<p>　包みを三つ、グリルに並べると、静かな音が立ち始めた。</p>



<p>　ジュウ……</p>



<p>　バターが溶け出し、魚の身から染み出した脂と合わさって、ホイルの中でぐつぐつと踊る。<br>　鼻をくすぐるのは、焦げかけたバターの香ばしさ。そしてほんのりと漂う磯の香り。</p>



<p>　「うわ、もう絶対うまいやつ」</p>



<p>　グリルの扉越しに立ち上る湯気を眺めながら、思わずにやけてしまう。<br>　数分後、火を止めてホイルを開くと、湯気と一緒に芳醇な香りがふわりと立ちのぼった。</p>



<p>　皮がわずかに焦げ目を帯び、バターが金色に泡立っている。<br>　箸を入れると、ほろっと身が崩れ、湯気が一瞬にして広がった。</p>



<p>　「いただきます」</p>



<p>　まずはムラソイから。<br>　淡白な中にも深みのある身が、バターと塩の風味でさらに引き立っている。しっとりとした食感に、にんにくの香りが後から追いかけてくる。</p>



<p>　カサゴは、さらに繊細だ。<br>　やわらかくてふっくら、舌の上でほどけるように溶ける。脂がホイルの中で回っていたせいか、どこを食べてもじんわりと旨味が広がる。</p>



<p>　口に入れるたび、思わず目を閉じたくなるような幸福感。</p>



<p>　「……これは正解すぎたな」</p>



<p>　冷たい風の中で釣った魚が、こんなにも温かい一皿に変わる。<br>　あの瞬間、竿先がググッとしなったときの感触が、じわりと蘇る。</p>



<p>　風はまだ冷たい。<br>　けれど、今は部屋の中にいて、目の前には熱々の塩バター焼き。</p>



<p>　釣れた魚を食べることが目的じゃない。<br>　海と向き合い、魚と出会い、その命をいただき、自分の手で一皿に仕上げる──それが、僕にとっての釣りだ。</p>



<p>　最後のひと口を口に運ぶ。<br>　塩とバターの余韻を舌に残しながら、そっと息を吐いた。</p>



<p>　「さあ、次はどんな魚に出会えるかな」</p>



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		<title>Fishing Diary #2</title>
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		<dc:creator><![CDATA[kei]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 21 Mar 2025 01:57:09 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[Fishing Diary]]></category>
		<category><![CDATA[アカイカ刺身]]></category>
		<category><![CDATA[釣り日記]]></category>
		<category><![CDATA[マゴチ]]></category>
		<category><![CDATA[サーフ]]></category>
		<category><![CDATA[メタルジグ]]></category>
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					<description><![CDATA[　数日ぶりに、空が穏やかな表情を見せた。 　ここ最近は、ずっと風が強かった。潮の香りよりも、砂混じりの冷たい風が肌を刺し、海も白波を立てて荒れていた。そんな日が続くと、自然と足が遠のく。ロッドを持ち出す気にもなれず、ただ [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<figure class="wp-block-image size-full"><img decoding="async" width="408" height="204" src="https://novel-room.online/wp-content/uploads/2025/03/1_Fishing-Diary-1-1.jpeg" alt="" class="wp-image-2259" srcset="https://novel-room.online/wp-content/uploads/2025/03/1_Fishing-Diary-1-1.jpeg 408w, https://novel-room.online/wp-content/uploads/2025/03/1_Fishing-Diary-1-1-300x150.jpeg 300w" sizes="(max-width: 408px) 100vw, 408px" /></figure>



<p>　数日ぶりに、空が穏やかな表情を見せた。</p>



<p>　ここ最近は、ずっと風が強かった。潮の香りよりも、砂混じりの冷たい風が肌を刺し、海も白波を立てて荒れていた。そんな日が続くと、自然と足が遠のく。ロッドを持ち出す気にもなれず、ただ天気予報と海の様子を睨みながら過ぎていく日々だった。</p>



<p>　それが今朝、ようやく風が落ち着きを見せた。</p>



<p>　家を出たのは、まだ朝の空気がひんやりと澄んでいる時間帯だった。車の窓を少し開けると、潮の匂いが微かに鼻をかすめる。天気は晴れ、風は弱い。砂浜に立てる──それだけで、心が少し弾む。</p>



<p>　「様子だけ見に行くか」</p>



<p>　そう言いながらも、釣り道具はすでに車に積んである。気がつけば、メタルジグも数本ポケットに忍ばせていた。様子見、という言葉は、いつだって都合のいい言い訳になる。</p>



<p>　砂浜に着くと、驚くほどの静けさが広がっていた。</p>



<p>　波は穏やかに寄せては返し、風はほとんどない。先週まで荒れていたとは思えないほど、海は凪いでいた。</p>



<p>　「……いいじゃないか」</p>



<p>　ロッドを取り出し、リールをセットする。メタルジグはお気に入りの28g。遠投性能が高く、底まで素早く沈んでくれる。マゴチを狙うには、これがちょうどいい。</p>



<p>　誰もいない砂浜をゆっくり歩き、足元の感触を確かめる。少し湿った砂の上に足跡が刻まれていく感触が、妙に心地いい。</p>



<p>　キャストの構えに入ると、背中に微かに潮風が吹き抜けた。</p>



<p>　「よし……」</p>



<p>　スッと振りかぶり、思い切りロッドを振る。シュッという音とともに、ジグが弧を描いて遥か沖へと飛んでいく。</p>



<p>　──パシャ。</p>



<p>　水面に落ちた瞬間、静かな海にわずかな波紋が広がる。ラインを張りながら、ジグが底に着くのを待つ。カウントを取りながら、底に触れた感覚を確認。</p>



<p>　シャッ、シャッ。</p>



<p>　ロッドを軽く煽り、ジグを跳ね上げる。底を叩くようなイメージで、テンポよく探っていく。砂煙を上げながら逃げるベイトを演出するように──。</p>



<p>　ただ、反応はない。</p>



<p>　2投目、3投目……変化はない。それでも、今日は投げられること自体がありがたかった。数日間、風に阻まれていた分、ロッドを振るという行為そのものが気持ちいい。</p>



<p>　10投目を超えた頃だろうか。</p>



<p>　ジグをリフトしてフォールさせた直後──ラインに違和感。</p>



<p>　「……ん？」</p>



<p>　テンションをかけた瞬間、ググッとわずかに重みが走った。</p>



<p>　一瞬、心臓が跳ねた。</p>



<p>　アワセを入れるべきか迷ったが、次の瞬間にはもう軽くなっていた。</p>



<p>　「……のらなかったか」</p>



<p>　小さなため息が漏れる。でも確かに、魚の気配があった。底を這うように泳ぐマゴチか、もしくは…何か別のフラットフィッシュか。</p>



<p>　その一瞬のアタリを逃したことが悔しくて、もう一度、もう一度とキャストを繰り返す。しかし、二度目のチャンスは訪れなかった。</p>



<p>　やがて陽が少しずつ昇り、海面がキラキラと輝き出す。足元の影が長く伸びて、朝が深まり始めているのがわかる。</p>



<p>　「……帰るか」</p>



<p>　ロッドを下ろし、ジグを外してラインを巻き取る。静かな浜辺に、リールの回転音がかすかに響いた。</p>



<p>　釣果はゼロ。それでも、不思議と後悔はなかった。あの一瞬の手応えだけで、充分に心が満たされていた。</p>



<p>　足跡を辿って砂浜を戻りながら、心の中でそっと呟く。</p>



<p>　「次は、あの一瞬を逃さないように」</p>



<p>　車に乗り込み、エンジンをかけると、ラジオから流れる朝のニュースが静けさを破った。</p>



<p>　「……今朝の気温は、平年よりやや低め……」</p>



<p>　窓を少しだけ開けると、潮風がふわりと入り込む。釣果はゼロ。でも、悔しさよりも、不思議と満たされた気持ちが残っていた。</p>



<p>　一度だけ感じた“ググッ”というあの感触。釣り人にとって、あの一瞬の手応えは、言葉にしがたいほどの価値を持っている。</p>



<p>　帰り道、信号待ちの車内でハンドルに手を添えたまま、指先に残る感覚を思い出す。あれはマゴチだったのか、それともヒラメか。想像を巡らせる時間さえも、釣りの楽しさの一部だ。</p>



<p>　家に着き、タックルを片付ける。ロッドのガイドにたまった塩を水で流し、ジグのフックに錆がないかを確認する。釣れなかった日こそ、次に向けた準備を丁寧に。</p>



<p>　「釣れなかったからって、手ぶらで終わらせるのもな……」</p>



<p>　冷蔵庫を開け、冷凍室を覗き込む。</p>



<p>　冷凍庫には、まだたっぷりのアカイカとスルメイカが眠っている。数週間前、釣り仲間の船で釣り上げたものを、冷凍しておいたやつだ。釣り上げたあの時のまま、今も美しい姿見を保っている。</p>



<p>　「今日は、こいつで一杯にしようか」</p>



<p>　キッチンに立ち、冷水でアカイカをゆっくりと解凍していく。包丁の背で表面を優しく撫で、薄い皮を剥がしていく。</p>



<p>　ヌルッとした感触が指先に残り、イカ独特の香りがふわりと立ちのぼる。解凍具合を確認しながら、身を適度な大きさに切り分けていく。</p>



<p>　身はうっすらと透け、中心にかけて白みを帯びていた。</p>



<p>　「細切りにするか」</p>



<p>　包丁を縦に入れ、薄く、均等にカットしていく。切った身を冷水でサッと締め、キッチンペーパーで軽く水気を取る。</p>



<p>　次に、山葵をおろす。チューブではなく、生の山葵を選ぶのは、今日は釣れなかった自分への小さなご褒美のようなものだ。</p>



<p>　小皿に並んだアカイカの刺身。その横に、ほんの少しだけ山葵を添える。シンプルな白い器に盛り付けると、静かな海を思わせるような涼しげな一皿ができあがった。</p>



<p>　「いただきます」</p>



<p>　箸で一枚すくい、醤油に軽くつけて口へ運ぶ。</p>



<p>　ぬるりとした食感のあと、ゆっくりと噛むごとに、甘さがじわじわと広がっていく。</p>



<p>　「うまい……」</p>



<p>　獲れたてではない。けれど、釣ってそのままイカ袋に入れて冷凍しておいたアカイカの身は、なおも鮮度を保ち、釣った日の記憶を呼び起こしてくれる。</p>



<p>　静かなキッチン。窓からは、午後のやわらかい光が差し込んでいる。</p>



<p>　ひとり、静かに箸を進めながら、あの砂浜の景色を思い出す。</p>



<p>　風の音、波の音、そして一度だけ感じた手応え。</p>



<p>　「釣りって、やっぱりいいな」</p>



<p>　釣れなかった日も、それはそれで意味がある。</p>



<p>　次はきっと。</p>



<p>　その想いを噛みしめながら、最後のひと切れを口に運んだ。</p>



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			</item>
		<item>
		<title>Fishing Diary #1</title>
		<link>https://novel-room.online/fishing-diary-1/</link>
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		<dc:creator><![CDATA[kei]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 06 Mar 2025 23:55:32 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[Fishing Diary]]></category>
		<category><![CDATA[静かな感動]]></category>
		<category><![CDATA[釣り]]></category>
		<category><![CDATA[釣り日記]]></category>
		<category><![CDATA[魚料理]]></category>
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					<description><![CDATA[　静かな朝、穏やかな海 　朝5時前。まだ街は眠りの中にある。ひんやりとした潮風を感じながら、いつもの釣り場へ向かった。 　岸壁に立ち、ゆっくりと海を眺める。今日は波がほとんどなく、まるで湖のような穏やかさだ。風も弱く、釣 [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<figure class="wp-block-image size-full"><img decoding="async" width="408" height="204" src="https://novel-room.online/wp-content/uploads/2025/03/0_Fishing-Diary-1-1.jpeg" alt="" class="wp-image-2257" srcset="https://novel-room.online/wp-content/uploads/2025/03/0_Fishing-Diary-1-1.jpeg 408w, https://novel-room.online/wp-content/uploads/2025/03/0_Fishing-Diary-1-1-300x150.jpeg 300w" sizes="(max-width: 408px) 100vw, 408px" /></figure>



<p>　静かな朝、穏やかな海</p>



<p>　朝5時前。まだ街は眠りの中にある。ひんやりとした潮風を感じながら、いつもの釣り場へ向かった。</p>



<p>　岸壁に立ち、ゆっくりと海を眺める。今日は波がほとんどなく、まるで湖のような穏やかさだ。風も弱く、釣りには最高のコンディション。</p>



<p>　「いい感じだな」</p>



<p>　静かな海に仕掛けを落とすのは、どこか神聖な儀式のように感じる。今日はブラクリ仕掛けにオキアミをセット。壁際のカサゴを狙う。</p>



<p>　そっと仕掛けを沈める。オキアミがスルスルと水中に消えていき、しばらくすると、竿先にわずかな振動が伝わった。</p>



<p>　──コツ、コツ。</p>



<p>　「……きた」</p>



<p>　軽く竿を持ち上げ、アタリを確認する。しばらく待って、グッと重みが増した瞬間、素早くアワセる。</p>



<p>　グングンッ。</p>



<p>　手元に魚の抵抗が伝わる。そこまで強くはないが、確かな生命の重みが感じられる。ゆっくり巻き上げると、茶褐色の魚体が海面に浮かび上がった。</p>



<p>　「カサゴ、いいサイズ」</p>



<p>　棘のあるヒレに気をつけながら針を外し、バケツへ入れる。しばらく暴れたあと、ゆっくりと水底に沈んでいった。</p>



<p>　再び仕掛けを投入する。今の調子なら、もう少し釣れそうだ。</p>



<p>　──コツコツ。</p>



<p>　少しラインを巻いて待つ。すると、竿先がグイッと引き込まれる。今度はさっきよりも力強い。慎重に巻き上げると、またしてもカサゴ。</p>



<p>　「二匹目、順調だな」</p>



<p>　その後もアタリは続き、合計四匹を釣り上げたころ、東の空がうっすらと朱に染まり始めていた。</p>



<p>　「そろそろ、いい時間かな」</p>



<p>　バケツの中を覗くと、釣れたばかりのカサゴがゆっくりと泳いでいる。これだけあれば、じゅうぶんだ。</p>



<p>　道具を片付け、最後にもう一度静かな海を眺める。朝焼けが海面に映り、ゆらゆらと揺れていた。</p>



<p>　「さあ、帰って料理だ」</p>



<p>　これから、最高の時間が待っている。</p>



<p>　家に帰ると、まずはバケツの中を覗いた。</p>



<p>　茶褐色のカサゴがゆらゆらと泳ぎ、時折、口をパクパクと動かしている。その姿を見ながら、ふと思う。</p>



<p>　「ありがとう。美味しくいただくよ」</p>



<p>　釣った魚を味わう。それもまた、釣りの醍醐味だ。</p>



<p>　まな板の上にカサゴを一匹乗せ、包丁を手に取る。</p>



<p>　「ザッ、ザッ」</p>



<p>　包丁の背で鱗を落とすと、小さな銀色の欠片が飛び散る。指でなぞると、滑らかな感触。次にエラを外し、腹を割く。</p>



<p>　ぷるん、とした内臓がこぼれ出た。その中に、ひときわ鮮やかな黄色の卵。</p>



<p>　「やっぱり抱卵してたか」</p>



<p>　慎重に取り出し、アラと一緒に味噌汁用に分ける。身の方は水気をしっかり拭き取り、刺身用に整えていく。</p>



<p>　カサゴの身は淡白で、噛むほどに旨味が広がる。せっかくだから、半分は炙りにしよう。</p>



<p>　薄く切った刺身をバットに並べ、バーナーを手に取る。</p>



<p>　シュッ──</p>



<p>　青い炎が皮目をなぞり、ジュワッと脂が弾ける。魚の香ばしい匂いがふわりと立ちのぼり、食欲をそそる。</p>



<p>　「……これは絶対うまいな」</p>



<p>　いい感じに焼き色がついたら、軽く塩を振る。</p>



<p>　皿に盛り付けると、透き通るような生の白身と、炙られてこんがりとした皮目のコントラストが美しい。</p>



<p>　仕上げに味噌汁を作る。</p>



<p>　鍋に水を張り、カサゴのアラを入れて火にかける。煮立つと、澄んだ水が次第に白濁し、旨味がじんわりと染み出していく。そこへ取り分けた卵を加え、味噌を溶く。</p>



<p>　「よし、完成」</p>



<p>　炙り刺しとカサゴの味噌汁。釣り人だけが味わえる、最高のごちそうだ。</p>



<p>　さっそく、いただく。</p>



<p>　まずは、炙り刺しをひと切れ。</p>



<p>　噛むと、皮目の香ばしさが先に広がり、その後にじんわりとした甘みが舌に染み込む。生の部分はしっとりとしていて、皮の香ばしさと絶妙に絡み合う。</p>



<p>　「うん、うまい」</p>



<p>　次に味噌汁をひと口すする。</p>



<p>　魚の旨味が溶け出した濃厚な出汁に、味噌の優しい風味が合わさる。カサゴの卵はぷちっと弾け、ほのかな甘みが口の中に広がる。</p>



<p>　「やっぱり、自分で釣った魚は格別だな」</p>



<p>　そう呟きながら、ゆっくりと箸を進める。</p>



<p>　海と向き合い、魚と向き合い、最後に料理と向き合う時間。</p>



<p>　この一連の流れこそが、釣りの楽しさなのだと改めて感じる。</p>



<p>　さて、次はどんな魚を釣ろうか──。</p>



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