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	<title>Lyric Novel | NOVEL ROOM</title>
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	<title>Lyric Novel | NOVEL ROOM</title>
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		<title>『Memories Left bihind』</title>
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		<dc:creator><![CDATA[kei]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 24 Mar 2025 15:56:14 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[Lyric Novel]]></category>
		<category><![CDATA[記憶]]></category>
		<category><![CDATA[別れ]]></category>
		<category><![CDATA[電車]]></category>
		<category><![CDATA[切ない小説]]></category>
		<category><![CDATA[思い出]]></category>
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					<description><![CDATA[　夜の車窓に、景色が流れていく。 　まるで、自分の記憶だけを運んでいくみたいだった。 　川沿いを滑る光の帯。水面に映る街灯の明かりは途切れ途切れで、少し夢のなかみたいに現実感が薄れていく。 　静かだった。車内には数人しか [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<figure class="wp-block-image size-full"><img fetchpriority="high" decoding="async" width="720" height="360" src="https://novel-room.online/wp-content/uploads/2025/03/8a48a25cb4583a663f05283b4e5bb23a-2.jpeg" alt="" class="wp-image-2277" srcset="https://novel-room.online/wp-content/uploads/2025/03/8a48a25cb4583a663f05283b4e5bb23a-2.jpeg 720w, https://novel-room.online/wp-content/uploads/2025/03/8a48a25cb4583a663f05283b4e5bb23a-2-300x150.jpeg 300w" sizes="(max-width: 720px) 100vw, 720px" /></figure>



<p>　夜の車窓に、景色が流れていく。</p>



<p>　まるで、自分の記憶だけを運んでいくみたいだった。</p>



<p>　川沿いを滑る光の帯。水面に映る街灯の明かりは途切れ途切れで、少し夢のなかみたいに現実感が薄れていく。</p>



<p>　静かだった。車内には数人しか乗っていない。私は座席の隅に身を預けて、窓の外に視線を預ける。</p>



<p>　どこかへ行きたかったわけじゃない。<br>　でも、どこかへ向かわずにはいられなかった。</p>



<p>　誰かの声に呼ばれた気がして、この時間の電車に乗っていた。</p>



<p>　<br>　思い出すのは、やっぱり、あの日のことだった。</p>



<p>　＊</p>



<p>　冬の入り口の夕方。駅の改札の前で、彼と立ち尽くしていた。</p>



<p>　「……なんで、急に？」</p>



<p>　どちらが言ったのかも、もう定かじゃない。最後のやりとりは、思っていたより曖昧だった。</p>



<p>　彼の手はポケットに沈んでいて、目は私の奥を見ていた。</p>



<p>　「ごめん」</p>



<p>　それだけを残して、彼は電車に乗った。<br>　私は残った。</p>



<p>　別れよう、なんて言葉はなかったのに、すべてが別れのかたちをしていた。</p>



<p>　扉が閉まり、電車が動き出す。<br>　私たちは、それきりだった。</p>



<p>　<br>　＊</p>



<p>　季節がいくつか過ぎて、ある日ふと思い出した。<br>　あの駅、あの時間、あの場所。</p>



<p>　いてもたってもいられなくなって、私は電車に乗っていた。</p>



<p>　意味があるのかはわからない。でも、確かめたかった。<br>　言えなかった言葉も、飲み込んだ感情も、まだどこかに残っている気がしていたから。</p>



<p>　電車の揺れが、記憶を揺らす。<br>　静かに、胸の奥に波紋が広がっていく。</p>



<p>　ねえ、今どこにいるの？<br>　なにしてるの？</p>



<p>　もちろん返事なんてないけれど、それでも構わなかった。<br>　思い出せるってことだけで、どこかでまだ繋がっている気がしていた。</p>



<p>　あの頃、ふたりで乗った電車。<br>　手をつながなくても、近くに感じられた距離。</p>



<p>　いま、私はその場所へ向かっている。</p>



<p>　<br>　ホームに降りた瞬間、胸の奥が少しだけ震えた。</p>



<p>　懐かしい風景は、変わったようで、なにも変わっていなかった。</p>



<p>　ベンチに腰を下ろして、スマホの画面を開く。<br>　通知はひとつも来ていない。</p>



<p>　私は電源を落とした。</p>



<p>　今日は誰ともつながらなくていい。<br>　ただ、電車と記憶と、自分だけでいい気がした。</p>



<p>　ここに来たところで、彼に会えるわけじゃない。<br>　わかってる。なのに、足は勝手にここまで来てしまった。<br>　<br>　──「一緒に帰ろっか」</p>



<p>　ふいに、耳の奥にあの声がよみがえる。<br>　少し笑って、どこか照れくさそうで、それでもまっすぐだった。</p>



<p>　記憶って不思議だ。<br>　最後にどんな言葉を交わしたのかは思い出せないのに、どうでもいい一瞬の仕草や声だけが鮮明に残っている。</p>



<p>　私は、彼に最後になにを言ったんだっけ。<br>　言えなかっただけかもしれない。<br>　黙ったまま、なにも返せなかったのかもしれない。</p>



<p>　<br>　電車がホームに滑り込んできた。</p>



<p>　わかってる。来るはずなんてない。<br>　なのに私は、目で探してしまう。</p>



<p>　似た背中を見つけるたびに、一瞬だけ期待してしまう。</p>



<p>　でも違った。やっぱり、違った。</p>



<p>　電車は扉を閉じて、ゆっくりと走り去っていく。</p>



<p>　取り残されたホームに、ひとり。<br>　私は、もう一度深く息を吐いた。<br>　<br>　私が彼を思い出すように、彼もふと、私を思い出す瞬間があるんだろうか。</p>



<p>　消せずにいるトーク履歴。<br>　最後に送った「元気でね」という一文。<br>　既読がついたまま、返事はなかった。</p>



<p>　あのとき、それで全部が終わった気がした。</p>



<p>　<br>　でも、もしも。<br>　もしも、彼がまだあの言葉を覚えていてくれるなら。</p>



<p>　それだけで、少しだけ前を向ける気がする。</p>



<p>　ホームの風が少し冷たくなってきた。<br>　もう少しだけ、この場所にいたいと思った。</p>



<p>　彼を待っているんじゃない。<br>　ちゃんと、自分と向き合うために。</p>



<p>　そして私は、次の電車に乗ろうと思った。</p>



<p>　終点まで、記憶を乗せて。<br>　彼と降りたことのない駅まで、心を運んでみたかった。</p>



<p>　窓の外は、相変わらず灰色の空。</p>



<p>　でも、不思議と景色が違って見えた。<br>　何度も通ったはずの道なのに、今日はどこか輪郭がにじんでいる。</p>



<p>　車内の揺れに身を預けながら、私は膝の上で手を組んで、ぼんやりと外を眺めていた。</p>



<p>　<br>　――あの日も、たしか、雨だった。</p>



<p>　<br>　最後に彼を見た日。<br>　私の前で立ち尽くしていた彼の姿だけが、時間に滲まず残っている。</p>



<p>「またな」</p>



<p>　彼はそう言って、電車に乗った。<br>　扉が閉まる直前まで、私を見ていた。</p>



<p>　でも、私はなにも言えなかった。<br>　手を振ることも、笑うこともできなかった。</p>



<p>　見送ることしかできなかった自分を、いまでも時々、悔しく思う。</p>



<p>　<br>　車内には、静かな空気だけが流れている。</p>



<p>　イヤホンはしていないのに、頭の中にはあの頃の音楽が流れていた。</p>



<p>　<br>　あの人の言葉、どれだけちゃんと受け取れていたんだろう。</p>



<p>　そばにいれば、それでいいと思っていた。<br>　言葉にしなくても、通じるものがあると信じてた。</p>



<p>　だけど、そんなのはただの幻想だったのかもしれない。</p>



<p>　<br>　名前を知らない駅が、いくつも通り過ぎていく。</p>



<p>　降りたことのない場所でも、彼と話したことを思い出してしまう。</p>



<p>「このへんに、うまいラーメン屋があるらしいよ」</p>



<p>　そんな話を、車内でしていた。</p>



<p>　行くことはなかったのに、なんだかずっと覚えている。</p>



<p>　<br>　私の記憶は、彼の言葉でできているのかもしれない。</p>



<p>　特別じゃなくていい。<br>　でも、忘れられない。</p>



<p>　そんな時間ばかりが、今も胸の中に残っている。</p>



<p>　<br>　過去に縋っているわけじゃない。<br>　だけど、過去を手放す準備も、まだできていなかった。</p>



<p>　彼がいなくなった日から、私の中に彼が根を張ってしまったから。</p>



<p>　<br>　窓に映る自分の姿は、少しだけ大人びて見えた。</p>



<p>　こうして静かに彼を思い出せるようになるなんて、あの頃の私は想像もしなかった。</p>



<p>　<br>　あのときは、すべてが終わってしまったような気がしてた。</p>



<p>　でも、時間は思っていたよりもやさしくて、<br>　痛みを、すこしずつ滲ませていってくれる。</p>



<p>　<br>　もしまた会えたら、私はなにを言うだろう。</p>



<p>「ひさしぶり」って、言えるかな。</p>



<p>　それともまた、言葉が詰まって、目をそらしてしまうんだろうか。</p>



<p>　<br>　きっと、もう会うことはない。</p>



<p>　だからこそ、彼の姿はずっとあのときのまま、記憶の中に立ち止まっている。</p>



<p>　<br>　電車は進んでいく。</p>



<p>　もう戻れないことも、わかってる。</p>



<p>　でも、記憶の中だけでも、彼と同じ景色を見ていたくて、<br>　私はまだ、この列車の中にいた。</p>



<p>　次の駅で降りるつもりだったのに、私はまだ座席にいた。</p>



<p>　扉が開いても、体は動かなかった。</p>



<p>　静かな車内。<br>　どこか取り残されたような気がしたのに、不思議とその感じが心地よかった。</p>



<p>　<br>　誰にも見つからない時間と場所。<br>　その中にいることで、ようやく自分の輪郭がはっきりしていく。</p>



<p>　<br>　あの人を思い出すとき、いつも風景の中に姿がある。<br>　駅のホーム、電車の窓、雨の中の傘。</p>



<p>　どこにもいないのに、確かにそこにいるような気がしてしまう。</p>



<p>　<br>　いま彼がどこで、誰と、なにをしてるのかは知らない。</p>



<p>　でも私は、彼との時間の中でしか、彼を探せない。</p>



<p>　それでいい。<br>　そう思えるようになってきた気がする。<br>　<br>　かつて交わした言葉のほとんどは、もう思い出せない。</p>



<p>　でも、声のトーンや、沈黙の間。<br>　ふとした笑い方だけは、ずっと残ってる。<br>　<br>　記憶って、不思議な場所を覚えてくれる。</p>



<p>　形あるものじゃなくて、空気みたいなものだけを、ちゃんと拾ってくれる。<br>　<br>　名前も、写真も、メッセージもいらない。</p>



<p>　残しておきたいのは、<br>　ただ、彼と一緒にいたときに流れていた時間だった。<br>　<br>　缶コーヒーのぬるさとか、<br>　改札の音とか、意味のない会話の続きとか。</p>



<p>　そういう何でもないものが、今もちゃんと残っている。<br>　<br>　窓の外。<br>　知らない駅のホームで、誰かが誰かを迎えていた。</p>



<p>　その光景が、少しだけまぶしく見えた。</p>



<p>　<br>　私は誰にも会いにいくわけじゃない。<br>　会える相手も、もういない。</p>



<p>　ただ、記憶の続きを確かめたくて、こうして列車に乗っているだけ。<br>　<br>　きっと、いつかはこの気持ちも過去になる。</p>



<p>　だけど、今はまだここに置いておきたい。</p>



<p>「……またな」</p>



<p>　最後に聞いた言葉が、ふいに頭の中で揺れる。</p>



<p>　私も、返せなかった。<br>　なにも言えず、ただ立ち尽くしていた。</p>



<p>　<br>　あのときの自分に、声をかけたい。</p>



<p>　でも、もうどうにもならない。<br>　<br>　せめて、いまこうして思い出せていることが、<br>　私なりの返事になればいい。</p>



<p>　終点が近づいてきた。<br>　車内アナウンスが、現実に戻るように響く。<br>　<br>　降りなきゃ。<br>　でも、降りたくなかった。</p>



<p>　そんな気持ちを胸の奥で噛みしめながら、私はゆっくり立ち上がる。<br>　<br>　扉が開いて、冷たい風が吹き込む。<br>　外の世界に触れた瞬間、さっきまでそばにあった記憶が、少しだけ遠のいた。<br>　<br>　でも大丈夫。<br>　私の中に、ちゃんと残っている。</p>



<p>　彼の言葉も、笑い顔も、何も言わなかった沈黙までも。</p>



<p>　この列車の窓の向こうに、すべてを置いてきたようで、ほんとはずっと、自分の中にあった。<br>　<br>　改札を抜けて、空を見上げる。</p>



<p>　雨は止んでいた。</p>



<p>　<br>　いま、私はようやく歩き出せた気がする。<br>　何かが終わったんじゃなくて、何かを持ったまま、前に進めそうな気がした。<br>　<br>　彼のことは、もう過去なのかもしれない。</p>



<p>　だけど、完全に終わりにしたくないって思った。<br>　<br>　たとえ誰にも語られることがなくても、誰とも共有できなくても。</p>



<p>　それでも、私の中ではちゃんと、あの時間が生きている。<br>　<br>　駅前のベンチに腰かけて、スマホを取り出す。<br>　画面には、何も通知はなかった。</p>



<p>　でも、不思議とそれでよかった。</p>



<p>　<br>　思い出は、返事をくれない。<br>　でも、いつもそばにある。</p>



<p>　<br>　私はその日、ゆっくりと深呼吸して、帰りの電車に乗った。</p>



<p>　もう、彼のいない風景にも慣れてきたけど、<br>　それでも、どこかで今も彼を探してしまう自分がいる。<br>　<br>　その気持ちは、もう否定しない。</p>



<p>　記憶に残る彼の姿を、これからも私はきっと、忘れないでいる。<br>　<br>　たとえ触れられなくても、もう会えなくても――</p>



<p>　<br>　この胸に、静かに息づいているあの人との物語。</p>



<p>　それだけはずっと、ここに置いておこうと思った。</p>



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		<title>『Reply』</title>
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		<dc:creator><![CDATA[kei]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 23 Mar 2025 15:03:48 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[Lyric Novel]]></category>
		<category><![CDATA[メッセージ]]></category>
		<category><![CDATA[名前のない関係]]></category>
		<category><![CDATA[恋愛]]></category>
		<category><![CDATA[再会]]></category>
		<category><![CDATA[青春小説]]></category>
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					<description><![CDATA[　最後に並んで歩いたのは、卒業式の日だった。　　ふたりきりで歩いた帰り道。手はつながなかったけど、近かった。 　付き合ってたわけじゃない。　でも、まわりからはそう見られていたし、私たちもどこかで、そうなりかけていたのかも [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<figure class="wp-block-image size-full"><img decoding="async" width="720" height="360" src="https://novel-room.online/wp-content/uploads/2025/03/8a48a25cb4583a663f05283b4e5bb23a-1.jpeg" alt="" class="wp-image-2274" srcset="https://novel-room.online/wp-content/uploads/2025/03/8a48a25cb4583a663f05283b4e5bb23a-1.jpeg 720w, https://novel-room.online/wp-content/uploads/2025/03/8a48a25cb4583a663f05283b4e5bb23a-1-300x150.jpeg 300w" sizes="(max-width: 720px) 100vw, 720px" /></figure>



<p>　最後に並んで歩いたのは、卒業式の日だった。<br>　<br>　ふたりきりで歩いた帰り道。手はつながなかったけど、近かった。</p>



<p>　付き合ってたわけじゃない。<br>　でも、まわりからはそう見られていたし、私たちもどこかで、そうなりかけていたのかもしれない。</p>



<p>　あと一歩ずつ踏み出していたら、“そういう関係”になっていたのかも。</p>



<p>　一度だけ、彼がぽつりとつぶやいた。</p>



<p>「俺たちって、なんなんだろうな」</p>



<p>　私は、何も答えられなかった。<br>　そのことがずっと、心のどこかに引っかかっていた。</p>



<p>　あのとき、なにか言えていたら。<br>　ちゃんと、形にできていたら。</p>



<p>　今ごろは、違う場所に立っていたのかな。<br>　そんなことを、いまだに考えてしまう自分がいた。</p>



<p>　新学期が始まって、彼とは違うクラスに。</p>



<p>　廊下で会えば、軽く手を振るくらいの関係。<br>　会話なんて、もう何日してないか覚えていない。</p>



<p>　今さら話しかけるのも、なんか変な感じで。<br>　目が合いそうになったら、ついそらしてしまう。</p>



<p>　たぶん、向こうも同じこと思ってるんだろうな。</p>



<p>　スマホの通知が鳴らない日が、続いている。<br>　トーク履歴の一番上に、彼の名前だけが残ったまま。</p>



<p>　最後に「おつかれ」って送ったのは、一週間前。<br>　既読はついた。でも、それきり。</p>



<p>“なんで返信くれないの？”なんて、言いたいわけじゃない。<br>　でも、“待ってるって気づいて”とも、やっぱり言えなかった。</p>



<p>　何かを送っても、もう届かないような気がして。</p>



<p>　それでも何かを送りたくて。</p>



<p>　画面を開いては閉じる、それだけの毎日が続いていた。</p>



<p>　昼休み、友達と話していても、ふと彼の声を探してしまう。</p>



<p>　遠くで誰かが笑っているだけで、「あ」って振り向きたくなる。<br>　でもそんなときに限って、そこに彼はいない。</p>



<p>「ねえ、またボーッとしてたでしょ？」</p>



<p>　からかうように笑う友達に、私は曖昧に笑って返す。</p>



<p>「んー、なんでもないよ」</p>



<p>　そのセリフを繰り返すようになったのは、いつからだったんだろう。</p>



<p>　放課後、校門の近くで、彼とすれ違った。</p>



<p>　スマホを見ながら歩いてくる彼に、思わず声をかけようとしたけど、足が止まる。</p>



<p>　すれ違いざま、一瞬だけ目が合った。<br>　でも彼は、なにも言わずに通り過ぎていった。</p>



<p>「元気？」それすら、言えなかった。</p>



<p>　喉の奥に引っかかった言葉は、声になる前に消えてしまった。</p>



<p>　小さくため息をついて、イヤホンを取り出す。<br>　音楽に耳をふさがれるのを待つみたいに、指がプレイリストを選んだ。</p>



<p>　流れてきたのは、彼と一緒に聴いていた曲だった。<br>　夏の終わり。ふたりで電車に揺られながら聴いた、あの曲。</p>



<p>　彼は笑ってこう言ってた。<br>「この曲、歌詞ダサいけど、なんか好き」</p>



<p>　なんでもない思い出。<br>　でも今は、その記憶が胸に痛い。</p>



<p>　帰宅して、部屋の電気もつけずにベッドに沈む。<br>　スマホの画面をぼんやりと見つめている。</p>



<p>　通知は、まだ来ていない。</p>



<p>　彼の名前をタップして、トーク画面を開く。<br>　最後の「おつかれ」の吹き出しの下に、既読のチェックマークがひとつだけ、静かに居座っていた。</p>



<p>　もう、なにを送ればいいかわからない。<br>　でも、なにも送らないままでいるのも、苦しかった。</p>



<p>……なにやってんだろ。</p>



<p>　また同じ言葉が、頭の中をぐるぐるしてる。</p>



<p>　そのときだった。<br>　画面がふっと光った。</p>



<p>　1件の新着メッセージ。</p>



<p>　手が止まる。呼吸が止まる。<br>　そこに表示されたのは――彼の名前だった。</p>



<p>“元気にしてる？”</p>



<p>　たった一行だった。<br>　シンプルで、軽いようにも見えた。</p>



<p>　でも、胸の奥にじんと響いて、しばらく動けなかった。</p>



<p>　既読がついたとき、彼はどんな顔をしていたんだろう。<br>　通知を見た瞬間、ちょっとは迷ったりしてたのかな。</p>



<p>　スマホの画面を閉じても、頭の中にはその言葉が浮かび続ける。</p>



<p>“元気にしてる？”</p>



<p>　何度も見たはずなのに、目を離せなかった。</p>



<p>　なんて、ずるい言葉なんだろう。</p>



<p>　この一週間、ずっと考えていた。<br>　何度も言葉を打ちかけては消して、何も返ってこないままの画面を見つめ続けてきた。</p>



<p>　その間、彼からは一言もなかったのに。</p>



<p>　今さら、こんなふうに一行だけで現れるなんて。</p>



<p>　軽そうに見えるその文字が、どうしようもなく重たく感じた。</p>



<p>……どういう気持ちで送ったんだろう。</p>



<p>　懐かしさ？　優しさ？　それとも、ただの気まぐれ？</p>



<p>　考えてもわからないくせに、頭の中では答えを探してしまう。</p>



<p>　でも、無視はできなかった。</p>



<p>　ベッドの上でスマホを両手で持ち直す。<br>　返信画面を開いたまま、時間だけが過ぎていく。</p>



<p>“うん、元気だよ”<br>　それだけでもいいはずなのに、指が止まる。</p>



<p>　本当は元気なんかじゃなかった。<br>　彼の既読がついたあの日から、ずっと。</p>



<p>　言えなかったことも、聞けなかったことも、たくさんある。</p>



<p>　でも、それ以上に――たった一言じゃ伝えきれない気持ちのほうが多すぎた。</p>



<p>　イヤホンをつけて、またあの曲を流す。<br>　彼が「ダサいけど好き」って言ってた、あの歌。</p>



<p>　昔は何も思わなかった歌詞が、今は妙に刺さる。<br>　あのとき、ちゃんと聴いておけばよかった。</p>



<p>　あの人を、もう少しちゃんと見ていればよかった。</p>



<p>　スマホに視線を戻すと、画面にはまだ、彼からのメッセージが残っていた。</p>



<p>“元気にしてる？”</p>



<p>　何度読んでも、胸がざわつく。<br>　あたたかいようで、さみしいようで、泣きたくなるような。</p>



<p>　どうしようもなく迷った末に、打ち込んだ。</p>



<p>「なんで今なの？」</p>



<p>　送信ボタンを押す指が、少しだけ震えた。<br>　でも、その揺れごと、全部送りたかった。</p>



<p>　既読がついたのは、ほんの数秒後だった。</p>



<p>　画面を伏せて、目を閉じる。<br>　今日は、それだけでよかった。</p>



<p>　＊　＊　＊</p>



<p>　その夜、スマホの光で目を覚ました。<br>　画面には、新しい通知。</p>



<p>　彼からだった。</p>



<p>「ごめん。<br>タイミングとか考えてなかった。<br>でも最近、昔のことばっか思い出してた」</p>



<p>　文章は短かったけど、彼なりに考えた末の言葉なんだろうって思った。</p>



<p>　“昔のことばっか思い出してた”</p>



<p>　たったそれだけなのに、胸の中で何かがふっとほどける。</p>



<p>　今さらって思ってたはずなのに。<br>　こんなにも簡単に気持ちが揺れるなんて。</p>



<p>　ほんと、ずるい。</p>



<p>　でも、うれしかった。<br>　それはもう、認めるしかなかった。</p>



<p>　朝、目が覚めてすぐにスマホを手に取った。<br>　メッセージの続きを考えている自分に、少しだけ笑う。</p>



<p>　昨日まで、名前を見るだけで苦しくなっていたのに。<br>　今日は、通知が来るのを待っている。</p>



<p>　打ち込んだ言葉は、本当に何気ないものだった。</p>



<p>「そっか。思い出されてたのか、私」</p>



<p>　照れ隠しのつもりで少しだけ冗談っぽくしてみた。<br>　たぶんバレるんだろうけど、それでもいいと思えた。</p>



<p>　昼過ぎ、授業中。<br>　教科書をめくるふりをしながら、スマホがわずかに震えたのがわかった。</p>



<p>　“思い出させるようなことばっか、今も残ってるからさ”</p>



<p>　画面に浮かんだその一文に、心が静かにあたたかくなる。</p>



<p>　なんでもない会話のやりとり。<br>　でも、少しずつふたりの距離が戻っていくような気がした。</p>



<p>　その日から、彼とのやりとりはぽつぽつと続いた。<br>　毎日じゃないし、返事がすぐ来るわけでもない。</p>



<p>　それでも、通知に彼の名前が浮かぶたびに、<br>　息を吸い直すような気持ちになる。</p>



<p>　こうして何気ないやりとりを重ねていく中で、<br>　少しずつ、言葉にしなくても伝わるものがあるような気がしていた。</p>



<p>　夜、ベッドに寝転びながらスマホを眺める。<br>　彼とのトーク画面は、少しずつ会話の履歴で埋まっていく。</p>



<p>　ゆっくりだけど、たしかに前に進んでいる気がした。</p>



<p>　既読がすぐにつかなくてもいい。<br>　返事が少し遅くてもいい。</p>



<p>　ただ、また繋がっていることが、今はなによりうれしかった。</p>



<p>　そんなときだった。<br>　彼から届いたメッセージの通知が、ふいに胸をざわつかせた。</p>



<p>“ねえ、今度さ”</p>



<p>　それだけ。<br>　続きの言葉はまだなかった。</p>



<p>　その一行に、思わずスマホを持つ手が止まる。</p>



<p>　すぐに返信は来ない。<br>　でも、その「……」の向こうにある気持ちを、<br>　勝手に想像してしまう自分がいた。</p>



<p>　しばらくして、画面が再び光った。</p>



<p>“やっぱ、今度会わない？”</p>



<p>　言葉を見た瞬間、胸の中がじんわりあたたかくなる。<br>　“やっぱ”ってつけるところが、彼らしくて、なんか笑ってしまった。</p>



<p>　だけど、返事はすぐには打てなかった。</p>



<p>　うれしいはずなのに、どこかで少しだけ、こわいと思ってる自分がいた。</p>



<p>　また前みたいにすれ違ってしまったらどうしよう。<br>　ちゃんと話せなかったら、また離れてしまうんじゃないか。</p>



<p>　そんな予感が、少しだけ背中を引っぱった。</p>



<p>　でも、それでも。</p>



<p>　会いたい気持ちは、ちゃんとそこにあった。</p>



<p>「うん。いいよ」</p>



<p>　結局、返した言葉はとてもシンプルだった。<br>　でも、それ以上はいらない気がした。</p>



<p>　その夜、スマホを伏せて目を閉じた。</p>



<p>　眠れそうになかったけど、<br>　それでも、不思議と、心は静かだった。</p>



<p>　日曜の午後、駅前のカフェ。</p>



<p>　ここは、ふたりで何度か来た場所だった。<br>　窓際の席に座って、店員さんに「付き合ってるんですか？」って聞かれて、照れたことがある。</p>



<p>　そんなことを思い出してしまって、ちょっと足が重くなったけど、<br>　ガラス越しに彼の姿が見えた瞬間、胸の奥がすっと軽くなった。</p>



<p>　いつもと同じ。<br>　でも、どこか少しだけ大人びて見えた。</p>



<p>　扉を開けると、彼がすぐに気づいて、軽く手をあげた。<br>　懐かしい仕草に、胸がきゅっとなる。</p>



<p>「……ひさしぶり」</p>



<p>「うん。……ひさしぶり」</p>



<p>　たったそれだけなのに、ふたりとも少し笑ってしまった。<br>　学校では顔を合わせているのに、こうしてちゃんと向かい合うのは、本当に久しぶりだった。</p>



<p>　メニューを開いているふりをしながら、心臓の音をごまかす。<br>　変な沈黙が流れないように、自然と口を開いた。</p>



<p>「ここ、変わってないね」</p>



<p>「うん。BGMまで、なんか前と同じだし」</p>



<p>　ふたりで笑って、なんとなく肩の力が抜けた。</p>



<p>「緊張してた？」</p>



<p>「ちょっとだけ」</p>



<p>「私も」</p>



<p>　コーヒーが運ばれてきて、湯気がゆらゆらと揺れる。<br>　その向こうにある彼の横顔を、目が勝手に追いかける。</p>



<p>「ちゃんと話すこと決めてきたわけじゃないんだけどさ」</p>



<p>　彼がカップを置いて、少しうつむきながら言う。</p>



<p>「……一回、ちゃんと会って話したかった」</p>



<p>「うん」</p>



<p>「返事しなかったこと、ずっと気になってて。<br>　既読つけたまま放置してたの、自分でもひどいと思ってた」</p>



<p>「……私も。<br>　なに送っても届かない気がして、結局なにも言えなかった」</p>



<p>　お互い、ちょっとだけ照れて笑った。<br>　でも、その笑いには、たしかにほぐれていく空気があった。</p>



<p>　ふと彼がポケットからイヤホンを取り出して、スマホを差し出してくる。</p>



<p>「これ、あのとき聴いてたやつ。まだ入ってた」</p>



<p>　片耳ずつ、イヤホンを分け合う。<br>　流れてきたのは、あの夏の終わりに、電車の中で一緒に聴いていた曲だった。</p>



<p>　彼が「ダサいけど、なんか好きなんだよな」って笑ってたやつ。<br>　あの頃は、ただのBGMだった。</p>



<p>　でも今は、メロディが胸の奥を撫でるように響いてくる。<br>　耳からではなく、心で聴いているような感覚だった。</p>



<p>　曲が終わる頃、彼が小さな声で言った。</p>



<p>「……これ聴くと、思い出すんだよね。いろいろ」</p>



<p>「うん、わかる」</p>



<p>　それ以上、言葉はなかった。<br>　でも、その“わかる”の中に、いろんな気持ちが詰まっていた。</p>



<p>　カフェを出ると、外の空気は少し冷たくなっていた。<br>　夕暮れの色がビルの隙間に滲んで、駅までの道が静かに染まっていく。</p>



<p>　彼は何も言わずに歩き出した。<br>　私はそのすぐ隣に並ぶ。</p>



<p>　特別なことはなにもない。<br>　でも、久しぶりに並んで歩くこの距離が、やけに心地よかった。</p>



<p>「……あの曲、まだ聴いてたんだね」</p>



<p>　ふと口にすると、彼はちょっと照れくさそうに笑った。</p>



<p>「うん。懐かしいやつばっか、残ってる」</p>



<p>「そういうとこ、変わってないね」</p>



<p>「たぶん一生このままだと思う」</p>



<p>　笑い合ったあと、ふたりの間にまた沈黙が流れた。<br>　でも、それは重くもなく、むしろ優しい静けさだった。</p>



<p>　信号待ちのタイミングで、彼がスマホを取り出す。<br>　ちらっと見えた画面には、グループLINEの通知が溜まっていた。</p>



<p>　でも彼は、それをすぐに閉じて、またポケットにしまった。</p>



<p>「あのさ、」</p>



<p>「ん？」</p>



<p>「もし……あのとき、“好き”って言ってたら、どうなってたかな」</p>



<p>　唐突すぎて、でも不思議と驚きはなかった。<br>　むしろ、“今なら答えてもいい”って思った。</p>



<p>「たぶん……うまくはいかなかったかも」</p>



<p>　そう言って、少し笑って続けた。</p>



<p>「でも、言われてたら。<br>　私は、たぶん、すごくうれしかったと思う」</p>



<p>　彼が視線をそらす。<br>　その横顔は、ほんの少しだけ、くやしそうに見えた。</p>



<p>「……なんか、悔しいな、それ」</p>



<p>　照れたような笑い。<br>　でも、その言葉には、ちゃんと気持ちが滲んでいた。</p>



<p>「今なら……言ってもいいの？」</p>



<p>「……どうしてほしい？」</p>



<p>　返した声は、思ったよりも冷静だった。<br>　でも、心臓の音だけは、ちゃんと高鳴っていた。</p>



<p>　彼は少しだけ黙って、空を見上げるようにして、静かに笑った。</p>



<p>「……わかんないけどさ。<br>　こうやって、また一緒に歩いてるの、悪くないなって思ってる」</p>



<p>　付き合ってるわけじゃない。<br>　昔の恋人でもない。</p>



<p>　でも、今この瞬間のふたりには、名前がなくてもちゃんと意味がある気がした。</p>



<p>　それでいいって思えた自分に、少しだけ驚いていた。</p>



<p>　駅のホームに着いたとき、ちょうど電車が滑り込んできた。</p>



<p>「じゃあ、また連絡する」</p>



<p>「うん。……待ってるから」</p>



<p>　そう言うと、彼が照れたように笑ってくれた。<br>　その笑顔を見て、なんとなく、またすぐに会える気がした。</p>



<p>　反対方向の電車に乗る彼がドアの向こうで手を振る。<br>　私も、そっと手を振り返した。</p>



<p>　ドアが閉まって、電車が走り出す。</p>



<p>　その瞬間。<br>　“前とは違う今日”が、そっと始まっていた気がする。</p>



<p>　家に帰って、スマホを開いた。</p>



<p>　少しだけ期待していたその画面に、通知がひとつ届いていた。</p>



<p>「今日、ありがとう。<br>　また歩こうぜ」</p>



<p>　たったそれだけのメッセージ。<br>　でもその文字の余韻が、胸の奥をじんわりあたためていく。</p>



<p>　指が自然と動いていた。</p>



<p>「うん。またね」</p>



<p>　今は、それで十分だった。</p>



<p>　その日から、彼とのやりとりはぽつぽつと続いた。</p>



<p>　毎日じゃない。<br>　返事がすぐ来るわけでもない。</p>



<p>　でも、通知に彼の名前が浮かぶたびに、呼吸をひとつ、深く吸いなおすような気持ちになる。</p>



<p>　話すことは、本当に他愛もないことばかり。</p>



<p>　新しく出たアイスの話。<br>　校内放送で流れてきた、あの曲のこと。<br>　電車でとなりの人が寝てきたとか、どうでもいいような話。</p>



<p>　だけどその“どうでもいい”のやりとりの中に、たしかにあの頃の空気があった。<br>　少しずつ、でもちゃんと、言葉にできないまま伝わっていく何かがあった。</p>



<p>　ある日、彼から写真が送られてきた。<br>　コンビニのおでんと、くだらない自撮り。</p>



<p>『まだ熱かった』</p>



<p>　そんなコメントに、思わず笑ってしまった。</p>



<p>『バカじゃん』</p>



<p>　そう返すと、すぐに『知ってる』って返事が届く。</p>



<p>　やっぱり、なんにも変わってない。<br>　だけど、少しだけ変わってる。</p>



<p>　それが、なんだかうれしかった。</p>



<p>　季節は、静かに次のページをめくるように変わっていく。</p>



<p>　ふたりの関係は、まだ名前もなくて。<br>　曖昧で、定義もなくて。</p>



<p>　だけど、もうそれでいいって思えるくらいには、大人になっていた。</p>



<p>　夜。ベッドに寝転びながら、彼からのメッセージを見返す。<br>　どの言葉にも、ちゃんと“今の気持ち”がにじんでいた。</p>



<p>　未読だった時間が、少しずつ塗り替えられていく感覚。<br>　私の中に、ちゃんと今の“彼”が存在していく。</p>



<p>　そんなある日、少しだけ長いメッセージが届いた。</p>



<p>「お前ってさ、<br>　あんま人のこと、好きにならなそうだよね」</p>



<p>　その続きに、少し間を空けて、もうひとこと。</p>



<p>「俺もそうだった。<br>　でもさ……たぶん一回だけ、本当にそうなりかけてたんだと思う」</p>



<p>　スマホを持つ手が止まった。</p>



<p>　すぐには返せなかった。<br>　でも、不思議と苦しくはなかった。</p>



<p>　むしろ、静かに、あたたかいものが胸に流れていった。</p>



<p>　あの卒業式の帰り道。<br>　彼が「俺たちって、なんなんだろうな」って言ったとき。<br>　私が何かひとことでも返せていたら、きっとなにかが変わっていたのかもしれない。</p>



<p>　でも、もしあのとき付き合っていたとしても、きっと、うまくはいかなかったと思う。</p>



<p>　あのときの私たちは、まだ何も知らなかったから。</p>



<p>　恋じゃなくても。<br>　恋人じゃなくても。</p>



<p>　ちゃんと、たいせつな関係がある。</p>



<p>　今、それがわかる。</p>



<p>　そう思わせてくれたのが、ほかでもない彼だった。</p>



<p>　スマホを胸の上に置いたまま、目を閉じた。</p>



<p>　通知が鳴らない夜に、こんなふうに安らげるようになるなんて。</p>



<p>　理由はわからないけど、自然にそう思えた。</p>



<p><br>　週末、ふたたび同じカフェで会うことになった。<br>　前と同じ、窓際の席。角の静かな場所。</p>



<p>　あのときと同じ景色のはずなのに、光の入り方も、流れる空気も、なんとなく違って感じる。</p>



<p>　たぶん、私たちのなかにあるものが、少しずつ変わってきたからだ。</p>



<p>　彼はグラスの水をゆっくり揺らしながら、ふいに言った。</p>



<p>「もしさ、またふたりでどっか行くとしたら……どこがいい？」</p>



<p>「どこでもいいよ」</p>



<p>　そう答えたあと、少しだけ考えてから、言葉を足した。</p>



<p>「人が少なくて、静かで、時間がゆっくり流れるようなとこ。<br>　なんか、いまの私たちにちょうどいい気がする」</p>



<p>　彼が笑って「たしかに」って言った。</p>



<p>　この空気が、今のふたりにちゃんと馴染んでいるのがうれしかった。</p>



<p>　帰り道。<br>　彼の手が、ふと私の手の近くに来た。触れはしなかったけれど、その距離がとても自然だった。</p>



<p>　この距離のまま、歩いていたいと思った。</p>



<p>　言葉を交わさなくても、ちゃんと伝わる何かがあるような気がしていた。</p>



<p>　改札の前で立ち止まる。</p>



<p>「じゃあ、またね」</p>



<p>　私がそう言うと、彼は少し黙って、それからやさしく笑って言った。</p>



<p>「うん。じゃあ、また連絡するわ」</p>



<p>　その一言が、いまの私たちのすべてだった。</p>



<p>　名前のないままでもいい。<br>　未完成なままでも、確かに続いている。</p>



<p>　夜、ベッドに寝転びながらスマホを見つめる。<br>　今日のやりとりを何度も見返していると、また画面がふわりと光った。</p>



<p>《1件の新着メッセージ》</p>



<p>　開かなくても、たぶんわかっていた。</p>



<p>　そっと画面をタップすると、そこには一言。</p>



<p>「今日は、いい日だったな」<br>　<br>　胸の奥が、静かに鳴る。</p>



<p>　私の指が、自然と動いた。</p>



<p>「うん。また歩こう」</p>



<p>　それだけで、心がそっと満たされた気がする。</p>



<p>　通知が鳴るたびに、この関係を少しずつ好きになっていける。</p>



<p>　たとえ“恋人”じゃなくても、名前がつかなくても。</p>



<p>　今は、君のいる静けさが、少しだけうれしい。</p>



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		<title>『Still with You』</title>
		<link>https://novel-room.online/still-with-you/</link>
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		<dc:creator><![CDATA[kei]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 10 Mar 2025 13:05:22 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[Lyric Novel]]></category>
		<category><![CDATA[小説]]></category>
		<category><![CDATA[切ない]]></category>
		<category><![CDATA[記憶]]></category>
		<category><![CDATA[前に進む]]></category>
		<category><![CDATA[心の揺らぎ]]></category>
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					<description><![CDATA[部屋の片隅に、あなたのマグカップが置きっぱなしになっている。もう何か月も、そのままだ。 手に取ることができず、ただ視界の隅に収めるだけの日々。コーヒーの染みが残ったままの縁に指を伸ばそうとして、いつも手が止まる。あなたが [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<figure class="wp-block-image size-full"><img decoding="async" width="720" height="360" src="https://novel-room.online/wp-content/uploads/2025/03/8a48a25cb4583a663f05283b4e5bb23a.jpeg" alt="" class="wp-image-2213" srcset="https://novel-room.online/wp-content/uploads/2025/03/8a48a25cb4583a663f05283b4e5bb23a.jpeg 720w, https://novel-room.online/wp-content/uploads/2025/03/8a48a25cb4583a663f05283b4e5bb23a-300x150.jpeg 300w" sizes="(max-width: 720px) 100vw, 720px" /></figure>



<p>部屋の片隅に、あなたのマグカップが置きっぱなしになっている。<br>もう何か月も、そのままだ。</p>



<p>手に取ることができず、ただ視界の隅に収めるだけの日々。<br>コーヒーの染みが残ったままの縁に指を伸ばそうとして、いつも手が止まる。<br>あなたが最後に口をつけた跡が、まだそこにある気がして。</p>



<p>あなたがいなくなって、どれくらい経ったのだろう。<br>時計は静かに時を刻み、カレンダーは何枚もめくられた。<br>でも、私の中の時間だけが、あの日のままで止まっている。</p>



<p>目を閉じれば、すぐに思い出せる。<br>あなたがここにいた日々を。</p>



<p>「おはよう」<br>寝ぼけた声でそう言って、私の髪をくしゃっと撫でるあなた。<br>コーヒーメーカーの音が響く朝のキッチン。<br>読みかけの本を片手に、ソファに寝そべる姿。<br>何気ない仕草のひとつひとつが、まるで今もすぐそばにあるように思えてしまう。</p>



<p>でも、目を開けると、そこにはもう誰もいない。<br>あなたの存在は、夢の中にしか残されていない。</p>



<p>外の世界は、何事もなかったかのように変わり続けている。<br>季節は巡り、人々は忙しそうに歩き、街は色を変えていく。<br>けれど、私の心だけは、あの頃のまま取り残されていた。</p>



<p>スーパーに行くと、あなたが好きだったコーヒーを無意識に手に取ってしまう。<br>テレビをつければ、ふとした瞬間にあなたの笑顔が浮かぶ。<br>すれ違う誰かの香水の香りが、あなたのものと似ていると、それだけで足が止まる。</p>



<p>「……まだ、ここにいるの？」</p>



<p>私は小さくつぶやく。<br>静まり返った部屋に、私の声だけがぽつんと落ちた。</p>



<p>あなたが座っていたソファに、そっと腰を下ろす。<br>その場所だけ、時間が止まったように冷たかった。</p>



<p>――夜がくる。</p>



<p>暗闇に包まれると、私はあなたに会える。<br>夢の中では、あなたは変わらずそこにいる。</p>



<p>「おかえり」<br>「今日は何してた？」</p>



<p>そんな他愛もない会話を交わして、笑い合う。<br>あなたは何も変わらないまま、私の手を握る。<br>そのぬくもりが、心の隙間を埋めていく。</p>



<p>――このままずっと、夢の中にいられたらいいのに。</p>



<p>けれど、朝がくる。<br>目が覚めれば、あなたはいない。<br>何も変わらない部屋と、何も変わらない孤独だけが、そこに残る。</p>



<p>それでも、私は夢を見ることをやめられない。<br>あなたがいなくなってしまった現実よりも、夢の中のほうが、よっぽど心地よかったから。</p>



<p>でも、ふと思う。</p>



<p>――あなたは、本当に「ここにいる」の？<br>それとも、私はただ「ここにいてほしい」と願い続けているだけ？</p>



<p>答えは出ない。<br>だけど、胸の奥に小さな違和感が生まれた。</p>



<p>私は、あなたの影を追い続けているだけなのかもしれない。</p>



<p>そして、そのことに気づいてしまった私は――。</p>



<p>このままでいいの？</p>



<p>そんな疑問が、ふと頭をよぎる。<br>あなたがいなくなって、どれくらい経っただろう。<br>季節が変わっても、私はまだここにいる。</p>



<p>あなたの好きだったコーヒーを買い続け、<br>ソファの隣には、あなたが座っていた場所を空けたまま。<br>クローゼットを開ければ、あなたの服がそのまま並んでいる。<br>靴箱の奥には、あなたのスニーカーが眠っている。</p>



<p>「……そろそろ、片付けようか」</p>



<p>誰に言うでもなく、ぽつりと呟く。<br>けれど、言葉だけが宙を舞い、行動には移せなかった。<br>まだ、踏み出せない。</p>



<p>あなたの残したものを整理することは、<br>あなたを忘れることと同じような気がして。</p>



<p>夜になると、私はまた夢の中であなたに会いに行く。</p>



<p>そこでは、時間は止まったまま。<br>あなたは変わらない笑顔で、私を見つめる。<br>まるで「ここにいればいいんだよ」とでも言うように。</p>



<p>――それでも。</p>



<p>このままでいいのか、という気持ちは消えなかった。</p>



<p>ある日、私はクローゼットを開けた。<br>あなたのシャツの袖をつまむ。<br>すると、ポケットの中に何かがあることに気がついた。</p>



<p>――小さな、折りたたまれた紙。</p>



<p>指先でそっと開く。<br>そこには、あなたの字でこう書かれていた。</p>



<p>「いつか、前に進めるように」</p>



<p>息を呑んだ。</p>



<p>どうして、今これを見つけてしまったのだろう。<br>もしかしたら、ずっとそこにあったのに、私が見ようとしなかっただけなのかもしれない。</p>



<p>あなたは、私がこうなることを知っていたの？<br>それとも、これはあなた自身の言葉だったの？</p>



<p>分からない。<br>だけど、涙が止まらなかった。</p>



<p>私はまだ、あなたを手放せない。<br>だけど、この言葉が私に何かを訴えかけているのは確かだった。</p>



<p>その夜、夢を見た。</p>



<p>あなたはそこにいた。<br>相変わらず、穏やかな笑顔で。</p>



<p>私は、あなたの顔をじっと見つめた。<br>夢の中では、あなたは変わらない。</p>



<p>でも、今日は違った。</p>



<p>「ねえ」</p>



<p>私は意を決して、口を開いた。</p>



<p>「あなたは……本当に、ここにいるの？」</p>



<p>あなたの笑顔が、ふっと消えた気がした。</p>



<p>「私は、ずっとあなたを待ってる。<br>ここで、あなたの手を握り続けてる。<br>でも……あなたは？」</p>



<p>あなたは、少しだけ悲しそうな目をした。</p>



<p>まるで、「分かってるんだろう？」と言うように。</p>



<p>心がざわめく。<br>私が、あなたをここに繋ぎ止めている？<br>それとも、私はただ、夢の中であなたを創り出している？</p>



<p>目を覚ますのが怖かった。<br>このまま夢の中にいられるなら、それでいいと思っていた。</p>



<p>だけど――。</p>



<p>あなたは、そっと私の手を離した。</p>



<p>「もう、大丈夫だよ」</p>



<p>その言葉を最後に、あなたの姿がぼやけていく。<br>必死に手を伸ばそうとしたけれど、指先が届く前に、あなたは消えてしまった。</p>



<p>私は、はっとして目を覚ました。</p>



<p>カーテンの隙間から、朝の光が差し込んでいる。</p>



<p>いつもと変わらない部屋。<br>けれど、何かが違っている気がした。</p>



<p>私はベッドから降り、クローゼットの前に立つ。</p>



<p>そして、あなたのシャツを取り出し、しばらく見つめた。</p>



<p>――あなたがここにいた証は、たくさん残っている。</p>



<p>でも、それは、あなたそのものではない。</p>



<p>私は、あなたの服を静かに畳み直した。</p>



<p>少しずつでもいい。<br>あなたの残したものを整理しよう。</p>



<p>あなたを忘れるわけじゃない。<br>だけど、私は――。</p>



<p>（次回、完結編）</p>



<p>「Still」（最終回）</p>



<p>　窓を開けると、春の風が吹き込んできた。<br>　淡い陽の光が部屋を照らし、揺れるカーテンの隙間から、青い空が見えた。</p>



<p>　私は、あなたのシャツを丁寧に畳みながら、ふと気づく。<br>　この部屋の景色は、ずっと変わらないままだった。<br>　いや、変わらないようにしていたのは、私自身だったのかもしれない。</p>



<p>　クローゼットの中には、まだあなたの服が掛かったまま。<br>　靴箱の奥には、あなたのスニーカーがそのまま残っている。<br>　まるで、いつかあなたが戻ってくる日を待っているかのように。</p>



<p>　私は、そのスニーカーを手に取り、ゆっくりと指でなぞった。</p>



<p>　「……そろそろ、片付けようか」</p>



<p>　自分に言い聞かせるように呟く。<br>　これまで、何度も思ったことだった。<br>　けれど、どうしても踏み出せなかった。</p>



<p>　それでも、今なら――。</p>



<p>　少しずつでも、あなたがいた時間を「思い出」として整理できる気がした。</p>



<p>　あなたが最後に座っていたソファ。<br>　そこに腰掛けると、あなたの笑顔が浮かぶ気がした。</p>



<p>　「ねえ、あなたなら、こういうときどうした？」</p>



<p>　呟くと、すぐに答えが返ってきそうな気がした。<br>　でも、返事はない。</p>



<p>　私は、ポケットからあの紙切れを取り出し、そっと指先で撫でる。</p>



<p>　「いつか、前に進めるように」</p>



<p>　これは、あなたが私に残してくれた言葉。<br>　たとえ、私の中にあなたがい続けても、それは「囚われること」とは違う。<br>　あなたがいなくなったことを認めた上で、それでも大切な存在であり続けること。</p>



<p>　それが「前に進む」ということなのかもしれない。</p>



<p>　私は、小さく息を吸い込んで、窓の外を見た。</p>



<p>　空は、果てしなく広がっている。<br>　まるで、私を包み込むように。</p>



<p>　「……ありがとう」</p>



<p>　どこへともなく呟いた言葉が、静かに部屋に溶けていく。</p>



<p>　それからの私は、少しずつ変わっていった。</p>



<p>　あなたの服を整理し、靴を箱にしまい、あなたの好きだったマグカップを棚の奥に片付けた。</p>



<p>　決して捨てたりはしない。</p>



<p>　けれど、それはもう「待つため」ではなく、「大切にするため」だった。</p>



<p>「私は、あなたの記憶とともに、新しい時間を生きていく。」</p>



<p>　決してあなたを忘れるわけじゃない。</p>



<p>　だけど、あなたに囚われるのは、もうやめよう。</p>



<p>　夜、夢を見た。</p>



<p>　でも、そこにはもう、あなたの姿はなかった。</p>



<p>　寂しくないと言えば嘘になる。<br>　けれど、どこかほっとした自分もいた。</p>



<p>　あなたはもう、自由になったのかもしれない。<br>　そして、私も。</p>



<p>　カーテンが揺れる。<br>　遠くで鳥の声が聞こえる。</p>



<p>　朝の光が差し込む部屋の中で、私はゆっくりと目を開けた。</p>



<p>　新しい一日が、始まる。</p>



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