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	<title>感動 | NOVEL ROOM</title>
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	<title>感動 | NOVEL ROOM</title>
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		<title>『君がいない世界』</title>
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		<dc:creator><![CDATA[kei]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 21 Mar 2025 05:10:16 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[リクエスト作品]]></category>
		<category><![CDATA[青春]]></category>
		<category><![CDATA[恋愛]]></category>
		<category><![CDATA[短編小説]]></category>
		<category><![CDATA[記憶喪失]]></category>
		<category><![CDATA[感動]]></category>
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					<description><![CDATA[　朝日がカーテンの隙間から差し込む。 　目を開けると、見慣れた天井があった。　スマホを手に取ると、時刻は午前6時50分。　いつもと同じ朝。 　だけど、何かが違う気がする。 　息を吸い込んでも、どこか胸が詰まるような感覚が [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
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<p>　朝日がカーテンの隙間から差し込む。</p>



<p>　目を開けると、見慣れた天井があった。<br>　スマホを手に取ると、時刻は午前6時50分。<br>　いつもと同じ朝。</p>



<p>　だけど、何かが違う気がする。</p>



<p>　息を吸い込んでも、どこか胸が詰まるような感覚があった。</p>



<p>　気のせいだろうか。</p>



<p>　ベッドから降り、鏡の前に立つ。<br>　寝癖を直そうと髪を整えながら、ふと視線が止まった。</p>



<p>　右手の薬指。</p>



<p>　そこに、薄く指輪の跡のようなものが残っていた。</p>



<p>　……なんだろう。</p>



<p>　私は、指輪なんてつけていただろうか？<br>　ルールの厳しい学校だし、アクセサリーはほとんど持っていない。<br>　それなのに、この痕跡は……。</p>



<p>　妙な違和感を抱えたまま制服に袖を通し、家を出る。</p>



<p>　自転車に乗り、朝の風を感じる。<br>　通学路はいつもと同じ。<br>　同じ制服を着た生徒たちが歩き、時折笑い声が聞こえてくる。</p>



<p>　だけど、何かが足りない。</p>



<p>　この景色に、本当はもう一つ何かがあった気がする。</p>



<p>　「おはよう！」</p>



<p>　校門をくぐると、美幸が手を振って駆け寄ってきた。</p>



<p>　「おはよう」</p>



<p>　私は笑顔を返す。</p>



<p>　「また寝不足？ なんかぼーっとしてない？」</p>



<p>　「ううん、そんなことないよ」</p>



<p>　美幸と話しているうちに、違和感は薄れていく。<br>　きっと気のせい。<br>　考えすぎなだけ。</p>



<p>　そう思いながら、教室へ向かった。</p>



<p>　午前中の授業は、ぼんやりとしたまま過ぎていく。<br>　ノートを開き、ペンを走らせる。<br>　けれど、文字がどこか遠く感じた。</p>



<p>　私は今、何を考えているんだろう。</p>



<p>　何を、忘れているんだろう。</p>



<p>　昼休み。</p>



<p>　美幸と屋上でお弁当を広げる。<br>　いつも通り、他愛もない話をして、笑い合う。</p>



<p>　「佳奈ってさ、最近何か考えごとしてる？」</p>



<p>　「え？」</p>



<p>　「なんかさ、時々ぼーっとしてるし、何かを思い出そうとしてる感じがする」</p>



<p>　……そうだろうか。</p>



<p>　私は、何かを思い出そうとしている？</p>



<p>　自分ではよくわからなかった。</p>



<p>　「そんなことないと思うけど……」</p>



<p>　曖昧に笑って誤魔化す。</p>



<p>　だけど、美幸の言葉が胸の奥にひっかかったまま離れなかった。</p>



<p>　放課後になり、美幸と一緒に駅へ向かう。</p>



<p>　「今日はまっすぐ帰る？」</p>



<p>　「うん、なんか少し疲れちゃって」</p>



<p>　美幸は少しだけ心配そうな顔をしたけれど、「じゃあ、また明日ね」と手を振った。</p>



<p>　電車に乗り込み、空いている席に座る。</p>



<p>　扉が閉まり、電車が静かに動き出した。</p>



<p>　私はスマホを開き、無意識にアルバムをスクロールする。</p>



<p>　いつ撮ったのかもわからない、日常の風景。<br>　友達と出かけた写真。</p>



<p>　楽しい思い出が並んでいるはずなのに――なぜか、どれも少し物足りない気がする。</p>



<p>　「……何かが、足りない」</p>



<p>　小さく呟いた瞬間、電車が揺れた。</p>



<p>　隣の人と肩が触れる。</p>



<p>　「あっ、すいません」</p>



<p>　そう言いながら視線を上げた。</p>



<p>　相手も、こちらを見ていた。</p>



<p>　「こちらこそ、すいません」</p>



<p>　落ち着いた声。</p>



<p>　そして、左手の薬指に光る指輪。</p>



<p>　――あれ？</p>



<p>　その瞬間、胸の奥がぎゅっと締めつけられた。</p>



<p>　なぜだろう。</p>



<p>　彼の顔は知らないはずなのに、見た瞬間、涙が出そうになった。</p>



<p>　何かが引っかかる。</p>



<p>　でも、それが何なのか分からない。</p>



<p>　電車が次の駅に着く。</p>



<p>　彼はゆっくりと立ち上がり、降りていった。</p>



<p>　私は、ただそれを見送るしかできなかった。</p>



<p>　――待って。</p>



<p>　そんな気がした。</p>



<p>　でも、なぜ？</p>



<p>　「……誰なの？」</p>



<p>　私の胸の奥にある違和感は、ますます大きくなっていった。</p>



<p>　帰りの電車を降り、家までの道を歩く。</p>



<p>　夕焼けに染まる街並みは、どこかぼんやりとしていた。<br>　いつも通る道なのに、妙に遠く感じる。</p>



<p>　あの電車の中で出会った人――。</p>



<p>　彼の顔を思い出そうとする。</p>



<p>　でも、うまく思い出せない。</p>



<p>　確かに見たはずなのに、どんどん記憶がぼやけていく。<br>　まるで、夢の中の出来事みたいに。</p>



<p>　でも、あの瞬間、胸が痛んだのは確かだった。</p>



<p>　なぜだろう。</p>



<p>　私は何を忘れているの？</p>



<p>　家に帰ると、すぐに自分の部屋に向かう。</p>



<p>　スマホのアルバムを開く。</p>



<p>　何か、ヒントがあるかもしれない。</p>



<p>　けれど、どれだけ見返しても、そこに彼の姿はなかった。</p>



<p>　見落としているだけだろうか。</p>



<p>　……それとも、本当に最初からいなかった？</p>



<p>　思考が絡まりそうになり、私はスマホを閉じた。</p>



<p>　疲れているのかもしれない。</p>



<p>　ベッドに横になると、いつの間にか意識が遠のいていった。</p>



<p>　――夢を見ていた。</p>



<p>　どこまでも続く白い空間。</p>



<p>　音がしない。</p>



<p>　誰もいない。</p>



<p>　私ひとりだけ。</p>



<p>　でも、どこか懐かしい気がした。</p>



<p>　なぜだろう。</p>



<p>　ここには、前にも来たことがある気がする。</p>



<p>　どれだけ歩いても、何もない。</p>



<p>　それなのに、私は何かを探している。</p>



<p>　……何を？</p>



<p>　わからない。</p>



<p>　でも、探さなきゃいけない気がする。</p>



<p>　足を止めると、背後から微かに声が聞こえた気がした。</p>



<p>　振り向く。</p>



<p>　けれど、そこには誰もいない。</p>



<p>　気のせい？</p>



<p>　違う。</p>



<p>　確かに、誰かがいる気がする。</p>



<p>　胸の奥が、ぎゅっと締めつけられる。</p>



<p>　「……誰？」</p>



<p>　口にした瞬間、視界が揺らいだ。</p>



<p>　何かが近づいてくるような気がする。</p>



<p>　でも、はっきりとは見えない。</p>



<p>　思い出さなきゃ。</p>



<p>　でも誰を――。</p>



<p>　そう考えた瞬間、夢の世界が崩れ、意識が引き戻されるように目が覚めた。</p>



<p>　暗い天井が見えた。</p>



<p>　部屋の中は静かだった。</p>



<p>　夢の中で、私は何を探していたのだろう。</p>



<p>　覚えているのは、ただ「何かを探していた」ことだけ。</p>



<p>　思い出せそうなのに、思い出せない。</p>



<p>　今まで感じていた違和感が、ますます大きくなっていく。</p>



<p>　ずっと、何かが欠けていた。<br>それが何かは、いまだに思い出せないまま――。</p>



<p>　目を閉じると、あの電車で出会った人の姿がぼんやりと浮かんできた。</p>



<p>　もう一度会えたら、何かが変わるのだろうか。</p>



<p>　それとも――。</p>



<p>　私は、何を求めているの？</p>



<p>　答えは、まだ霧の向こう側にあった。</p>



<p>　朝の光がカーテンの隙間から差し込み、部屋を淡く照らしていた。</p>



<p>　目を開けると、心臓がわずかに跳ねる。</p>



<p>　さっきまで夢を見ていた気がする。</p>



<p>　でも、目覚めた途端、その内容は霧のように消えていった。</p>



<p>　覚えているのは、ただ「何かを探していた」ということだけ。</p>



<p>　ベッドの上に起き上がり、右手をそっと見つめる。</p>



<p>　薄く残る指輪の跡。</p>



<p>　昨日も気になったけれど、今朝はそれが妙に重く感じた。</p>



<p>　この違和感の正体は何だろう。</p>



<p>　ため息をつき、スマホを手に取る。</p>



<p>　時刻は午前6時50分。</p>



<p>　通知の数はいつもと変わらない。</p>



<p>　誰かからのメッセージを待っていたような気がするのに、そんな相手はいなかった。</p>



<p>　学校へ行けば、何か変わるだろうか。</p>



<p>　そんなことを考えながら、支度をして家を出る。</p>



<p>　自転車をこぎながら、昨日のことを思い出す。</p>



<p>　電車の中で出会った、あの人。</p>



<p>　顔はぼんやりとしているのに、左手の指輪のことだけが妙にはっきりと記憶に残っていた。</p>



<p>　どうしてだろう。</p>



<p>　彼を見た瞬間、胸が締めつけられた。</p>



<p>　ただの偶然？ それとも……。</p>



<p>　答えは見つからないまま、学校に着いた。</p>



<p>　「おはよう！」</p>



<p>　美幸が笑顔で手を振る。</p>



<p>　「おはよう」</p>



<p>　私はいつも通りに返事をする。</p>



<p>　「ねえ、放課後どっか寄らない？ 昨日も佳奈、なんか元気なかったし」</p>



<p>　「……うん」</p>



<p>　いつもなら「そんなことないよ」と言っていたかもしれない。</p>



<p>　でも、今日はなんとなく否定する気になれなかった。</p>



<p>　美幸の気遣いが嬉しかったのかもしれない。</p>



<p>　授業中、窓の外を眺める。</p>



<p>　空はどこまでも青く、風が雲をゆっくりと流していく。</p>



<p>　この空を、誰かと一緒に見た気がする。</p>



<p>　でも、その「誰か」が思い出せない。</p>



<p>　昼休みになり、美幸と屋上に向かう。</p>



<p>　お弁当を広げ、他愛もない話をしながら笑う。</p>



<p>　それなのに、胸の奥の違和感は消えなかった。</p>



<p>　「ねえ佳奈って、今好きな人いる？」</p>



<p>　突然の質問に、箸を持つ手が止まる。</p>



<p>　「え？」</p>



<p>　「最近、なんかそういう雰囲気あるなーって思って」</p>



<p>　美幸が軽い調子で言う。</p>



<p>　「……そんなことないよ」</p>



<p>　私は笑って誤魔化した。</p>



<p>　だけど、本当にそうだろうか。</p>



<p>　誰かを好きになったことがあった気がする。</p>



<p>　でも、その相手が誰だったのか、思い出せない。</p>



<p>　そんなことがあるだろうか。</p>



<p>　記憶が抜け落ちるなんて。</p>



<p>　……でも、それに気づいてしまったら、戻れなくなる気がした。</p>



<p>　私は何を、忘れているの？</p>



<p>　放課後、美幸とカフェに寄る。</p>



<p>　飲み物を手にしながら、窓の外をぼんやりと眺める。</p>



<p>　そのとき、心臓が跳ねた。</p>



<p>　人混みの中に、あの電車で出会った人がいた。</p>



<p>　いや、それだけじゃない。</p>



<p>　私は知っている。</p>



<p>　彼を、私は――。</p>



<p>　「……佳奈？」</p>



<p>　美幸の声にハッとする。</p>



<p>　「え？」</p>



<p>　「どうしたの？」</p>



<p>　「……なんでもない」</p>



<p>　カフェを出て、帰りの電車に乗る。</p>



<p>　座席に座り、スマホを開く。</p>



<p>　SNSのタイムラインをスクロールする。</p>



<p>　友達の写真が流れていく。</p>



<p>　見慣れたはずの風景なのに、どこか違和感がある。</p>



<p>　……誰かが、いたはずなのに。</p>



<p>　私は、もう一度アルバムを開いた。</p>



<p>　楽しい思い出が並んでいる。</p>



<p>　だけど、その中に欠けたピースがある気がする。</p>



<p>　電車が揺れた。</p>



<p>　肩が誰かに当たる。</p>



<p>　「あっ、すいません」</p>



<p>　顔を上げる。</p>



<p>　――彼だった。</p>



<p>　昨日、電車で見たあの人。</p>



<p>　「こちらこそ、すいません」</p>



<p>　彼は、少し寂しげに微笑んだ。</p>



<p>　胸が締めつけられる。</p>



<p>　私は、彼を知っている。</p>



<p>　でも、思い出せない。</p>



<p>　電車が駅に着く。</p>



<p>　彼は私より先に降りていく。</p>



<p>　私は立ち上がることができなかった。</p>



<p>　ただ、遠ざかる彼の姿を見送るしかなかった。</p>



<p>　次の瞬間、涙がこぼれた。</p>



<p>　「……なんで……」</p>



<p>　自分でも分からない。</p>



<p>　だけど、私は彼を知っている気がする。</p>



<p>　それなのに、思い出せない。</p>



<p>　どうして？</p>



<p>　私は、何を忘れてしまったの？</p>



<p>　家に帰ると、靴を脱ぎ、鞄を置き、真っ直ぐ自分の部屋へ向かった。</p>



<p>　電車の中で彼とすれ違った瞬間の胸の痛みが、まだ残っている。</p>



<p>　理由なんて分からない。</p>



<p>　でも、あのときの寂しそうな微笑みが、頭から離れなかった。</p>



<p>　私は、彼を知っている。それだけは確かだった。</p>



<p>　なのに、名前が――思い出せない。</p>



<p>　スマホのアルバムを開く。</p>



<p>　何度も見返したはずの写真たち。</p>



<p>　友達との写真、学校の風景、何気ない日常の瞬間。</p>



<p>　だけど、どの写真も、どこか不自然に感じた。</p>



<p>　この隙間、この空白。</p>



<p>　本当は、ここに誰かがいたんじゃないか。</p>



<p>　「……いないはずの誰かを探してるなんて、おかしいよね」</p>



<p>　独り言を呟き、スマホを閉じる。</p>



<p>　考えすぎたせいか、頭が霞んでいくようだった。</p>



<p>　今日は早く寝よう。</p>



<p>　そう思い、ベッドに横になった。</p>



<p>　目を閉じると、すぐに眠気が襲ってきた。</p>



<p>　――また、夢を見た。</p>



<p>　白い世界が広がっている。</p>



<p>　音も、風もない。</p>



<p>　私は、どこかを目指して歩いていた。</p>



<p>　どこへ向かっているのか分からない。</p>



<p>　でも、止まることはできなかった。</p>



<p>　何かを探している気がする。</p>



<p>　だけど、何を探しているのかが分からない。</p>



<p>　ただ、胸が痛い。</p>



<p>　何かが足りない。</p>



<p>　欠けているものがある。</p>



<p>　「……誰か」</p>



<p>　声を出してみる。</p>



<p>　だけど、応えはなかった。</p>



<p>　そのとき、ふと、遠くに人影が見えた。</p>



<p>　私は、夢中で駆け出していた。</p>



<p>　誰なの？</p>



<p>　待って。</p>



<p>　近づくほどに、胸が苦しくなる。</p>



<p>　喉が震える。</p>



<p>　涙が出そうになる。</p>



<p>　どうして？</p>



<p>　私は、何を思い出しかけているの？</p>



<p>　あと少しで、その人に手が届く。</p>



<p>　そう思った瞬間、足が止まる。</p>



<p>　喉の奥から、自然とこぼれ落ちる。</p>



<p>　「……裕人」</p>



<p>　その名前を口にした瞬間、すべてが弾けるように広がった。</p>



<p>　光が溢れる。</p>



<p>　目の前の人が、ゆっくりと振り向いた。</p>



<p>　優しく微笑んでいる。</p>



<p>　「やっと、気づいてくれた」</p>



<p>　その声を聞いた瞬間、何かが一気に溢れ出した。</p>



<p>　私は――。</p>



<p>　――目を覚ました。</p>



<p>　眩しい光が、カーテンの隙間から差し込んでいる。</p>



<p>　病室の天井が広がっていた。</p>



<p>　息を吸い込む。</p>



<p>　ゆっくりと目を向けると、誰かが私の手を握っていた。</p>



<p>　「……裕人？」</p>



<p>　震える声で、名前を呼ぶ。</p>



<p>　彼が、目を見開いた。</p>



<p>　「佳奈……」</p>



<p>　涙が溢れた。</p>



<p>　私は、帰ってきたんだ。</p>



<p>　裕人がいる、この世界に。</p>



<p>　裕人が目を見開いたまま、私の手を強く握る。</p>



<p>　「お前……」</p>



<p>　声が震えていた。</p>



<p>　裕人の目には、涙が溜まっていた。</p>



<p>　「……良かった……ほんとに……」</p>



<p>　言葉にならない声がこぼれる。</p>



<p>　私は――帰ってきたんだ。</p>



<p>　裕人がいる、この世界に。</p>



<p>　息を吸い込むと、胸の奥がじんわりと温かくなる。</p>



<p>　夢の中で、私はずっと何かを探していた。</p>



<p>　何かが足りない、何かが欠けている。</p>



<p>　それが、裕人だった。</p>



<p>　ずっと、忘れていた。</p>



<p>　でも、忘れたかったわけじゃない。</p>



<p>　思い出せなかっただけ。</p>



<p>　だけど、やっと思い出した。</p>



<p>　「……待たせちゃったね」</p>



<p>　涙が頬を伝う。</p>



<p>　裕人は首を振る。</p>



<p>　「いいんだ……！」</p>



<p>　唇を噛みしめ、涙を堪えながら、それでも笑った。</p>



<p>　「戻ってきてくれたなら、それだけで……！」</p>



<p>　私の手を握る裕人の指が、少しだけ震えていた。</p>



<p>　彼は、ずっと私を待っていてくれたんだ。</p>



<p>　夢の中で私は、裕人のいない世界をさまよっていた。</p>



<p>　でも、現実では彼が――私の手を離さずに待っていてくれた。</p>



<p>　私が目を覚ますのを、信じて。</p>



<p>　「もう、どこにも行かないよ」</p>



<p>　私はそっと、裕人の手を握り返す。</p>



<p>　裕人は、一瞬驚いたように私を見つめた。</p>



<p>　だけど、すぐに微笑む。</p>



<p>　「絶対だぞ」</p>



<p>　その言葉が、あまりに優しくて。</p>



<p>　また涙が溢れそうになる。</p>



<p>　もう二度と、忘れたりしない。</p>



<p>　彼がいる世界で、私は生きていく。</p>



<p>　もう、どこにも行かない。</p>



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